売上目標の捉え方

現実的な売上目標を立てるためには…

開業相談者には、『主婦やシニア層の方が自宅で副業』というケース、『脱サラして事務所を賃貸し、当面はお一人で”個人事業主”として営業』されるケース、『初めからスタッフを雇用し法人格で創業』されるケース、また『他業種からの新規参入で、PCサポート業を付加して業務拡大』とされるケースなどがあり、それぞれのオーナーによって達成したい利益目標は異なっています。

フランチャイズ資料等に見られる売上サンプル

フランチャイズ社がパンフレット等で提示している売上モデルを見ると、最初こそ懐疑的に感じられるかもしれませんが、だんだんと「そうか・・・それくらい利益がでるのか」と漠然と納得される方がいらっしゃるかもしれません。しかし一方では「絵に描いた餅のような話で、集客できる確証がないのでリアルに感じられない」と思われる方もいらっしゃるでしょう。

別にフランチャイズ社が虚偽の売上モデルをみせている…と言ってるのではありません。どんなPCスクールのグループでも教室別に見れば、売上格差が大きいのは事実だと思われます。フランチャイズ社は営利目的の事業なのですから、売上トップレベルの教室を、成功事例のサンプルとして提示するのは当然です。

それでは、開業者目線で自教室の売上予想(目標)を立てていく中で、どのような数字に着眼して考えれば、よりリアルな計画が立てられるのでしょうか。

売上のメインとなる授業料収入の基本的な考え方

開業当初の売上メインは、「授業料収入」です。
売上目標を考える上でも、一人当たりの平均受講料金をいくらに設定するのか、年間入会者目標を何名にするのか、実現可能な数字を見積もることは重要なことです。また言うまでもありませんが、目標に見合った集客のための販促計画が必要になります。

※授業料収入について

ここでは仮に、教室の一押しが 初心者向けの『月謝制のビジネスコース(月4回×6ヶ月=24回コース』だとして仮定してみましょう。
たとえば1回90分授業を2,500円と設定すれば、一人の受講生から 一ヶ月 10,000円いただく事になり、計60,000円/6ヶ月となりますね。
オープンから毎月平均10名の新規を目標とすると、6ヶ月間は 毎月10万円ずつ売上は伸び 半年で60万円に達します。しかし7ヶ月へ入ると、今度は在籍者が卒業してしまい、60万円から10万円に大幅に収入が減ることになります。

これは一例ですが、実際の現場では、このような長期コースよりも 1~2か月程度で受講される短期の方が多くなる傾向がありますので、長期の月謝制のコースも短期の速習型のコースも、共にラインナップしてこそ月謝制の終了月翌月の憂鬱!?を回避できる安全策だとも言えます。

このように考えていくと、売上目標を立てる本質を見失ってしまいそうですが・・・大切なことは、一人の受講生あたりの平均売上(単価)です。

つまり、先ほどの例でお話しすると、月謝制では、一人当たりの売上を60,000円(10,000円/月×6ヶ月)と考えたわけです。よって、この月謝制だけのラインナップのみで年商600万円を上げるためには、年間100名の生徒を獲得する必要がありますね。
しかし、たとえば 短期2か月で2万円というリーズナブルなコースをメインにしてしまうと、年商600万円を上げるために、年間300名の生徒を獲得する必要があります。

・・・そうです。一番難しいのが生徒獲得なのですから、安いコースをメインにしたからとって、生徒数が3倍に増えるなど信憑性がありえませんね。

ですから、現実的な ”受講生一人あたりの売上目標” を考えることは、非常に大切なことになりますし、各講座やコースの料金設定を考える上で、大切な指標となります。

授業料売上だけに依存しない経営こそが健全な教室運営につながる

MNJの掲げるパソコン教室像は、パソコン教室だけではないIT(PC)サポート業であり、「派遣・出張サポート」「WEB制作などのコンテンツ制作」「試験会場」「各種取次代理店」などからも売上を見込める経営です。

一般にパソコン教室は、近隣の後発競合店の影響を受けやすい傾向にあります。最初の1~2年は順調だったものの、3年目に近隣に似た価格帯の教室ができてから、受講生が3割減った・・・・などの話は、当MNJにみられる傾向というわけではなく、全国的に どこにあるパソコン教室でも起こり得ることです。

このような潜在的なリスクがあることを念頭において、開業当初から、少しでも早い段階で 授業料売上だけに依存せず 他の強みもアピールできる経営スタイル(差別化)を確立させる必要があります。